
1.概況 |
常熟市は江蘇省の東南部に位置し、東は上海、南は、蘇州、昆山、西は無錫と隣接し、北に長江を臨み、その対岸に南通市がある。市の総面積は1264平方キロメートル、人口104万人、中国における歴史文化国家の衛生都市、庭園都市、優秀観光都市、治安管理先進都市として、また国家環境保護模範都市として高く評価されている。
常熟市は着実に経済発展を遂げており、長年にわたり連続して「全国百強県市」のベストテンに入り、「財神県市」(お金の神様が留まる県市)として、全国でも10指に入る。これまでに常熟市へ進出した外資企業は1,600社にのぼり、外資投資額は約90億ドルを越える。世界有数ブランド企業である日本のシャープ、ダイキン、住友、富士電機、
フィンランドの fenouhuichuan、 フランスの atufeina, 、ベルギーのweiterron、シンガポールのfanlian、 台湾のyehui、長春、華豊、華潤、理文等が常熟市に進出している。
地図1 地図2 地図3

2.江蘇省常熟東南経済開発区 |
江蘇省常熟東南経済開発区の計画面積は50平方キロメートルで、清華都市企画設計研究院が全面的な区域企画設計を担当した。その基本は「五従五横」をメイン枠に「五つのブロック」をパターン化し、経済開発区の未来を見据えた、グローバルな視野に立ち計画されている。開発区には「大きい構成、大きい枠、大きいスケールの都市個性」を持たせ、同時に「新しい空、新しいデザイン、新しい志向」の都市クオリティを実現した。
経済開発区は管理委員会ビルを中心に放射状にレイアウトされており、インフラが完備され、関連産業が重層的に発展した特色ある近代的な工業団地が形成されている。主な産業は電子情報、生物医薬、精密機械、半導体新材料、高級繊維材料等。
2.1
地理的優位性
江蘇省常熟東南経済開発区は市の東南部に位置する。常熟の工業化の進展につれて、将来、常熟の新市街、新工業地区として発展していくことが約束されている。同区は常昆、昆承、古里等三つの市レベルの開発区が合弁し設立したもので、省レベル経済開発区の優遇政策が適用されている。また「経済開発区委員会」は各区域に対して産業、ハイテク、機能、規模に関する一元的管理を徹底し、全市にわたり、工業傾斜の重点地区、事業誘致の集中地区、管理システムの先進地区、ハイテクのモデル地区など、経済成長の推進地区としての建設に力を入れている。
2.2
便利な交通
経済開発区からは上海へは80キロ、蘇州39キロ、昆山18キロ、無錫へは40キロであり、中国一類港の常熟港まで15キロと言う抜群の立地条件にある。
工業団地は近くに204国道と錫太(無錫―太倉)1級道路がとおり、常熟市内で交差する計画の蘇嘉杭(常熟―蘇州―嘉興―杭州)高速道路と、沿江高速道路(上海―嘉定―常熟−江陰)が開通すれば、工業団地から5分ほどで高速道路に入ることが出来る。長江に架かる蘇通(蘇州-南通)長江大橋はすでに着工しており、2008年に開通することになっている。常熟港は中国10大河川港の一つで上海航運センターの一部として、蘇州シンガポール工業園区の主要輸出入航路としての役割を発揮している。近い将来、常熟は華東地方の重要な交通の要所となり、また物流センターとして、東南経済開発区の重要性は益々高まる。
2.3 完備したインフラ
「七通一平」のインフラが完備した土地を提供する。(七通:道路、電気、蒸気、通信、汚水、上水、下水施設・一平:すべての構築物を徹去した土地造成)
(1) 電力:区内の華東電力ネットワークより供給される。区内に変電所110KV×四、220KV×二がある。
(2) 上水:長江、尚湖を水源とし、給水能力は70万トン/日、水質は国家基準をクリア。
(3) 下水:処理能力5万トン/日。
(4) 汚水:企業から排出された汚水は前処理を経て経済開発区の汚水処理場に送られる。現在、汚水処理場の能力は1万トン/日×2、3万トン/日、6万トン/日。
(5) 通信:区内ではインターネット、国際間デジタルデータ通信ネットワーク(DDN)、国際・国内長距離ブログラム・コントロール電話、IP電話、ユーザー電報、FAX、移動通信及びBP通信等の通信サービスが完備されている。
(6) 蒸気:区内に二つのブロック式(容量は1.8万KVA)の集中スチーム供給によりスチーム、暖房、生活、湯水を提供する。
(7) 関税:区内には税関、輸出入検査・検疫局などの機関が常駐しており、国家一類開放港である常熟港がハイスピートでスムーズな貨物輸送を提供する。
(8) 金融:金融システム完備されており、企業と個人の投資財テクや外貨決算サービスを提供する。経済開発区の投資企業は以下の抵当にて資金借入ができる。土地の70%、工場建物の70%、設備の70%。
(9) 医療:市内には五つの市立病院があり、各病院には全て外国人向けの特別看護室が設けられている。
(10)観光:常熟は悠久の歴史文化を有し、豊富な観光資源がある。国家森林公園の虞山、 市を通り抜ける古琴川河、静かで奥深い小道と多くの名勝旧跡が「呉」独特の風景を撮り出している。
(11)居住:市内には三つ星、四つ星レベルのホテルと外国人向け別荘区がある。外国人宿泊施設としては、常熟ホテル、虞山ホテル、常熟大酒店、シンガポールガーデンなどがある。
2.4 投資優遇政策
常熟の東南経済開発区に進出した外国投資企業は国家及び江蘇省の各優遇政策を受けることが出来るほか、常熟市当局が制定した下記の優遇政策を受けることが出来る。
(1) 投資額100万ドル以上の外資系生産企業の所得税は「二免三減半」(利益の発生した年度から二年間免税とし、三年目からの三年間は半額控除)の二年間の免税優遇期間終了後、必要手続を取れば、後5年間は、地方政府が「先徴収後返還」(先に納税し後に還付する)の方式で該当企業に納税額の50%を還付する。
(2) 外国投資企業に対し、生産開始の日より五年間、その年度に納付した増値税のうちの当市保留部分の50%、即ち増値税額の4.25%を還付する。
(3) 製造型の外国投資企業に対して、24%の税率により企業所得税を徴収する。投資金額1000万ドル以上の製造型外国投資企業の所得税は規定によって徴収されるが、15%の税率を超過した部分については、認可を経て、納めた所得税の当市保留部分を企業への援助金にあてる。
(4) 技術集約型又は資金集中型のハイテク産業に対しては案件ごとに特別優遇政策を用意しており、これからの企業は、国家クラス開発区並の優遇政策を受けることが出来ると同時に地方政府の優遇政策も受けられる。
経済開発区では外資企業に対する行政事業費用の徴収は、「一つの窓口」管理制度を実施しており、政府において明文化された規定以外に、各政府部門は開発区に進出している企業からの費用徴収は行わない。
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